MyNA(日本MySQLユーザ会)会 2017年10月に行ってきた

2017年10月23日に開催された「MyNA(日本MySQLユーザ会)会 2017年10月」に参加してきました。このユーザー会へは初めて参加しました。

MySQL 8.0 RC リリース記念 という事で、MySQLプロダクトマネージャーのMorgan Tocker氏によるMySQL 8.0の全体像についての解説、ボリューム盛りだくさんな質疑応答が有り、他にも@yoku0825さんによる「MySQL 8.0で憶えておいてほしいこと」、 @naotoogawaさんによる「X Protocol はじめました(Haskellで ?)」が有りました。

Morgan Tocker氏の解説は分かりやすいスライドに、実例有り、分かりやすい日本語訳も有りでした。私はDB担当としてMySQLを触っているというよりは、作っているアプリケーションの一部として構築したりSQLを書いたりDDLを叩いたりチューニングしたりしている、といったぐらいなので知らない部分もかなり多かったです。

With句(CTE)、ウィンドウ関数導入、JSON関連対応の強化だけでなく、Unicodeへの対応強化とマルチバイトの高速化(デフォルトがutf8mb4になるだけじゃない)、GISの標準準拠(OpenGIS)の進展、ロックを制御する構文 SKIP LOCKEDなどなど。

MySQLは基本的に新しくなるほど高速化を続けていますが、マルチバイトで高速化しているというのはそれだけでもうメリットが大きそうで嬉しいですね。パフォーマンス面は5.7で主に読み込みが強化されましたが、8.0では書き込みも高速化されているようです。

質疑応答は「sli.do」というサービスを使って質問を募り回答するという形式。他の人の質問に対して投票をする事ができるのが面白く、票を多く集めた質問から聴いていくといった事が出来るのはなかなか新しいです。

質疑応答は本当にボリューミーかつ深い質問も多く、私にはもう分からないレベルの物もちょくちょく有りましたが、刺激的でした。印象に残っているのは「(Oracleの)MySQLへの投資は良い意味で変わっていない」という言葉、OracleをMySQLのアップデート先とも考えておらず、別のユーザー層が有り、それぞれ大切にしていくというようなニュアンスだったと思います。この部分は正直な所ちょっと意外でもありました。

また、どこまでスケールするかという質問では、正直な所分からないが(CPU以上に)IO周りの最適化が大切になってくる、との事でした。intelのOptaneなど、今までのSSDとも少し違う新ジャンルのストレージ技術によってDBの世界もどんどん変わっていくのでしょう。

サポート面では、8年間サポートを続けるために、3つのGAが保守中として残るような感じ?にしているなど、MariaDBとの方針の違いとしての話題も有りました。

各種パラーメータを自動で調整してくれるようになる innodb-dedicated-server は本番環境向きであり、開発環境には向かないというのも個人的にはちょっと意外でした。

他にも本当に様々な話題が有り、オフレコ扱いであるような部分も有り、貴重なお話でした。

「MySQL 8.0で憶えておいてほしいこと」ではおなじみとなった「ハハ=パパ問題」や微妙なデフォルトcollationだけでなく、MySQL 8.0で結構な数の予約語が増えている点での盛り上がりが有りました。”path”など、既存のアプリケーションで使ってそうな物も有り、注意点として大きそうです。

MySQL :: MySQL 8.0 Reference Manual :: 9.3 Keywords and Reserved Words
https://dev.mysql.com/doc/refman/8.0/en/keywords.html

例えばPHPだと各種フレームワークやライブラリのクエリビルダを使っているとこの辺はカラム名もエスケープしてくれていたりしますが、こういう時に助かるんですね。生のSQLを書いている箇所は見直そうと思います。

XProtcolを実装したセッションでは、名前と存在は知っている程度のXProtcolの中身がどうなっているのか、実際に実装するためにはどのファイルを参照すればいいのか、メタデータの扱い等、これもまたなかなか聴けない話題でした。

プロトコルを実装するためにはやぱりパケットの中身をみたりなど、低レイヤーの知識も必要になってくるのですね。言語によって実装に違いがあったりなどもするようで、罠も多そうな印象でした。

初MyNA会は、私のような雰囲気でDBを保守・チューニングしている人にはレベルが高い部分も多々ありましたが、全体として分かりやすく出来ていて、知らなかった事、ここでしか聴けなかったであろう話盛りだくさんでとても良かったです。既存のまだ残っている5.6を5.7に移行しつつ、MySQL 8.0の良い所活用していきたいです。

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また、ここ2か月間、いくつかのジャンルのカンファレンス(セッション)や会に出てみて、どのジャンルでもやっぱり「出来る」人のレベルは普通の人とは全然違うなと改めて感じました。

自分自身は、特に何の高レベルでもなく、Bootstrapを導入してちょっとCSSをカスケードして調整する程度のHTML/CSSであったり、ググりながらJavaScritpでPOST送信・結果取得のような事をしてみたり、PHPでがりがりバックエンドの処理、SQL、バリデーション、DB CRUDを書いたり(でも本格的なオブジェクト指向、ドメイン志向設計には未だ弱い)、LinuxやDBのセットアップ、チューニングだったり(トラブル時の対処は本職のサーバーエンジニアには及ばない)、AWS上の各種ネットワークやRDS、LB、WAFを設定したり、Zabbixでのモニタリングをいじっていたり、どれについても薄いレベルでしか触っていない現状。今後どこに行っても新人レベル(吸収力で言えば新人以下)でしょう。やはり何かしらに絞って掘り下げていく(=環境も変える)べきなのだろうか……。だからと言ってどれにしようかというと。

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