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Twig 3系に備えてTwig 1.x系を2系に更新しておこう

タイトルで完結しているかつ詳細も次のリンクで全てなのですが、利用者がそれなりに多そうな話題を見かけなかったので。

Preparing your Applications for Twig 3

Symfonyやそれ以外の環境でもよく使われているPHP向けテンプレートエンジン Twig の バージョン 3系が2019年末頃にリリースとなります。Twigは古いバージョンのPHPにも対応する1.x系とある程度新しいバージョンにのみ対応する2.x系が有りどちらもメンテナンスが続いていますが、3系のリリースに備えて1.xユーザーの方は2系に移行するようアナウンスされています。

移行のために

まずPHPの対応バージョンは以下のようになっています。いずれも composer.json で指定されている値です。

Twig 1.x : PHP 5.5.0 以上
Twig 2.x : PHP 7.0 以上
Twig 3.x : PHP 7.2.9 以上

1.x から 2.xは基本的には入れ替えるだけでそのまま動きます。ただし2.x で depricated (廃止予定)となったものや internal (内部的に使う関数であり直接の使用が非推奨)となっているものが 3.xで実際に廃止となりますので、まずは 2.x に移行した状態でその部分の対処を行う事で 3.x に備える事が出来ます。

該当のクラスや関数にはPHPDocのコメントが入りPhpStormなどのIDE環境においては対象箇所が視覚的に分かるようになっています。2.xで名前空間の整理が進み呼び出すクラスが変わる部分がいくつか有りますが、呼び出すクラスを変えるだけでほぼそのまま動く事が多いと思います。

2019年11月16日追記
Twig 3.0.0 がリリースされたようです
https://github.com/twigphp/Twig/releases/tag/v3.0.0

マイクロフレームワークっぽく使う Symfony 4 事始め 6 ~本番環境公開編~

Symfony 4 入門。前回の記事は以下

dev モードから prod モードに切り替える

第5回のこれまではずっと dev モードで開発してきました。dev モードでは例えば以下のような機能が提供されています。

  • Webページ下部に表示されるプロファイラ
  • 発行されたSQL全てがログに出力される(プロファイラ内でも確認できます)

前者は中身が筒抜けになり、後者は動作が遅くなりログサイズが爆発する原因になるのでどちらも本番環境として公開するには無効化しておきますよね。その場合は .env ファイル内での APP_ENV=dev の定義を APP_ENV=prod に変更する事で本番環境としてのモードに切り替える事が出来ます。もちろん .env.local で上書きする方法でも問題ありません。prod モードでは以下のような挙動の違いが有ります。

  • Webページ上にプロファイラが表示されない。
  • 発行されたSQLのログがログファイルに出力されない。
  • 設定ファイルの内 config/packages/dev 内の物がが読み込まれていた物は config/packages/prod 内の物が読み込まれるようになる。
  • ログのファイル名の dev の部分が prod になる。
  • キャッシュが自動的に更新されない。
  • bin\console server:run が使えない。

このうち「キャッシュが自動的に更新されない」件に関しては注意が必要です。プログラムのコードやビューテンプレートのコードを編集しても反映されなくなる場合が有ります。prod モードで運用している場合、改修のデプロイ後はキャッシュをクリアするようにしましょう。これはSymfonyのコマンドから実行する事が出来ます。

実行するには
php bin\console cache:clear
を実行します。

これでキャッシュが削除・更新されました。CIツールなどでデプロイを自動化しているような場合はこの操作を組み込んでおくといいんじゃないかと思います。

また、 bin\console server:run が使えなくなる件については確かに開発用の機能なのでそれも仕方ないかなという感じでは有りますが、ドキュメントルートになる public ディレクトリ内でPHPのビルトインサーバーを自分で起動してやれば dev モード時と同じようにビルトインサーバーで動作確認が可能です。

マイクロフレームワークっぽく使う Symfony 4 事始め 5 ~ロギング編~

Symfony 4 入門。前回の記事は以下

Symfonyでのログ出力

Symfonyでのログ出力には基本的には monolog を使います。これはPSR-3に準拠するログ出力ライブラリで、この記事の第1回の時点で自動的に導入されています。また、DIコンテナによる注入にも初期状態で対応しているので、 Psr\Log\LoggerInterface を受け取るコンストラクタや関数を用意すればDIコンテナにより自動的に注入されます。

今回は第3回で作成したサービスクラス BooksService にログ出力を追加してみます。前回までの状態は以下。

<?php
namespace App\Service;

use App\Repository\BooksRepository;

class BooksService
{
    private $booksRepository;

    public function __construct(BooksRepository $booksRepository)
    {
        $this->booksRepository = $booksRepository;
    }

    public function bookDetail(int $book_id)
    {
        return $this->booksRepository->get($book_id);
    }
}

コンストラクタでLoggerInterfaceを受け取るようにします。受け取ったロガーを利用してログを出力します。

<?php
namespace App\Service;

use App\Repository\BooksRepository;

class BooksService
{
    private $booksRepository;

    /** @var Psr\Log\LoggerInterface logger */
    protected $logger;

    public function __construct(BooksRepository $booksRepository, \Psr\Log\LoggerInterface $logger)
    {
        $this->booksRepository = $booksRepository;
        $this->logger = $logger;
    }

    public function bookDetail(int $book_id)
    {
        $this->logger->log('info', 'book_id: ' . $book_id . ' の詳細データを取得して返します');
        return $this->booksRepository->get($book_id);
    }
}

ログを出力する関数には
log(‘ログレベル’, ‘メッセージ’)
の他にそれぞれのログレベルに対応した
emergency(‘メッセージ’)
alert(‘メッセージ’)
critical(‘メッセージ’)
warning(‘メッセージ’)
notice(‘メッセージ’)
info(‘メッセージ’)
debug(‘メッセージ’)
が利用できます。上に有るものが重要度の高いログになっています。

実際にログ出力を埋め込んだ bookDetail が呼びされる http://127.0.0.1:8000/books/detail/2/ にアクセスしてみます。

ログファイルは /var/log/dev.log に出力されています。

このファイル名の dev という部分は環境定義によるものなので、ユニットテスト実行時は test.log 、本番環境で動かす際は prod.log になります。

ログのローテーション

例えばLinux側にもログをローテーションするための仕組みは有り、それを利用してログファイルを管理してもいいですが、逆にプログラム側で最初からファイル名に日付を付けてほしいという場合も有るでしょう。それはmonologの設定で可能です。
config/packages/dev/monolog.yaml
は初期状態で以下のようになっています。

monolog:
    handlers:
        main:
            type: stream
            path: "%kernel.logs_dir%/%kernel.environment%.log"
            level: debug
            channels: ["!event"]
        # uncomment to get logging in your browser
        # you may have to allow bigger header sizes in your Web server configuration
        #firephp:
        #    type: firephp
        #    level: info
        #chromephp:
        #    type: chromephp
        #    level: info
        console:
            type: console
            process_psr_3_messages: false
            channels: ["!event", "!doctrine", "!console"]

typeの部分に指定されている stream がデフォルトの出力方法になっています。これを rotating_file に変更します。この状態でログを出力してみると

dev-2019-02-31.log と日付付きのファイル名で出力されるようになりました。

monologには他にもエラーをSlackに通知したりなどファイル出力に限らないログ出力機能を備えているようです。私自身も試せていませんが重要度の高いエラーは外部の監視に頼らずに通知できたりなども出来そうですね。

次回は本番環境での公開方法について。