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CentOS 8のサポート期間の考え方は6や7とは異なります

CentOS 8.x (クローン元であるRHEL 8も含む)では CentOS 6 や 7 までとはいくつかサポート期間(サポート期限)の扱いが異なっています。

BaseOSリポジトリとAppStreamリポジトリ

CentOS 8 ではOSとしての機能を提供する「BaseOS」リポジトリと、開発言語やデータベースサーバー等を提供するアプリケーションストリームのリポジトリである「AppStream」リポジトリの2つのリポジトリで構成されます。また、パッケージ管理を行うdnf(これまでと同様にyumコマンドを実行した場合もdnfが呼ばれる)にはモジュールという仕組みが有り、モジュールの切り替えという概念が追加されています。

BaseOS リポジトリ:
CentOS 8 のOSとその周辺機能が提供されます。
サポート期限は2029年5月末まで。

About/Product – CentOS Wiki
https://wiki.centos.org/About/Product

OSとその周辺機能は10年間のサポートが提供されます。この期間はCentOS 7と同様です。

AppStream(アプリケーションストリーム)リポジトリ:
各種開発言語やRDBMS、サーバーアプリケーションやその他の各種ツール類等が提供されます。
サポート期限はアプリごとのストリームにより異なります。

Red Hat Enterprise Linux 8 Application Streams Life Cycle – Red Hat Customer Portal
https://access.redhat.com/support/policy/updates/rhel8-app-streams-life-cycle

主な内容とそれぞれのサポート期限は上記リンクを参照してください。RHELでの情報ですがクローンであるCentOSも同じ扱いになるかと思います。AppStreamでは例えばWebサーバーのApache、Nginx、ソフトウェア開発関連ではPHP、Ruby、Python、Perl、OpenJDK、データベースサーバーとしてはMySQL、MariaDB、PostgreSQL、Redisなどが提供されています。

アプリケーションによっては複数バージョンから選択して導入する事が出来るようになっており、どのバージョンを導入するかはモジュールの有効化・無効化で選択する事が可能です。モジュールはPHPであればCentOS 8.0 1905時点では7.2のみの提供でしたがCentOS 8.1 1911でPHP 7.3のモジュールが選択できるようになり、同様にNodeJSでは10に加え12が、Rubyでは2.5に加え2.6が選択出来るようになるなど、ある程度新しいバージョンをキャッチアップしていく事が可能なようです。

現在利用可能なモジュールは
dnf module list (yum module listでも可)
を実行する事で表示されます。また、
dnf module list –enabled
を実行する事で現在有効なモジュールのみが一覧表示されます。

なお、AppStreamで提供されているすべてがモジュールになっている訳ではなく、例えばgitコマンドなど複数バージョンから選択して導入するという要素が薄いようなものはモジュールの選択は有りません(上記のリンク先に掲載されていないアプリ・ツール類が多く存在します) (*1) 。

変化していくCentOSの立ち位置

つまりCentOS はCentOS 7までの

・サポート期間が開発言語やRDB、Webサーバー等含めディストリビューション全体で長大で、本家でサポート期間が終了していてるソフトウェアでもある程度のセキュリティフィックスが提供される。
・そのサポート期間を目的にする場合は化石のようなバージョンを使い続ける必要が有る(例えばCentOS 7ではPHPは5.4、Rubyは2.0.0が導入される)。それが困るので有れば別途リポジトリを追加するなりコンパイルするなりして導入する。

というディストリビューションからCentOS 8では

・OSとその周辺機能のサポート期間は10年確保しつつ、開発言語やRDBMS等の各種アプリケーションのサポート期間はそれよりも短い期間。
・各種アプリケーションは比較的新しいバージョンに能追従可能(追従していく必要が有る、とも言う)で、公式リポジトリのみでバージョンの切り替えができる。

というディストリビューションに変化します。

「化石バージョンでいいなら全てが長期間サポートされる一枚岩のLinuxディストリビューション」ではなくなったので、利用ソフトウェアの運用方針に注意しましょう。

Using AppStream :: CentOS Docs Site
https://docs.centos.org/en-US/8-docs/managing-userspace-components/assembly_using-appstream/

Managing versions of Application Stream content :: CentOS Docs Site
https://docs.centos.org/en-US/8-docs/managing-userspace-components/assembly_managing-versions-of-appstream-content/

※1: メール関連ではPostfixはBaseOSリポジトリで提供される一方でDovecotはAppStreamリポジトリ内に含まれています。何とも言えない基準。

2020年12月10日追記

詳細は公式の情報等を参考にして頂きたいですが、「RHELの該当バージョンに対応する無償版ディストリビューション」としてのCentOS 8は2021年で終了となる事が発表されたようです。今後はRHELよりも上流、RHELの先行テスト版のような立ち位置になる「CentOS Stream」に注力されている事になります。今後もCentOS Streamが維持されますが、立ち位置やリリース方法などが従来のナンバリングCentOSとは異なりますので諸々情報を確認したうえで、利用可能か判断が必要です。

CentOS Project shifts focus to CentOS Stream

[実食レビュー] 例の弁当箱型炊飯器を実際に買ってみた・炊いてみた

サンコーから発売されている「おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器」というものがあり、ネット上で話題になったほかTVでも何度か取り上げられるなど一定の盛り上がりがあり、具体的には以下のような製品になっています。

  • 最大1合炊きの超コンパクトかつ軽量な炊飯器。
  • 持ち運んで弁当箱の様に扱える。自称弁当箱なので防水。本体丸ごと洗えるし炊飯後はそのまま器として使える。
  • 炊飯時間が短い(0.5合で最短14分。ただし事前の吸水時間と炊飯後の蒸らし時間は含まない)
  • 保温機能有り(一人暮らしサイズ炊飯器には保温機能が無い事が珍しくないです)
  • タイマー機能やおかゆ機能などは無い。

個人的な現状の炊飯環境として、まず炊飯器を置ける場所がキッチンにも寝室にも全く存在しない事、不定期な炊飯(自宅で食べるのは夜だけ、そもそも米を毎日は食べない、更に外食多め)の為だけに寝室の一部を炊飯器用に確保したり通常サイズの炊飯器を取り出したり片づけたりしたくない事から、アルミ鍋を使ったガス炊飯をしていました(これはこれで面倒な部分が多い)。このサイズなら使う時だけ取り出す運用が楽そうです。

レビューされない問題

が、一向にレビューを見かけない。気になる! こんな製品らしい! どまりの記事は多いんですが……。生産が追い付いていないようで単純に買えた人が少ないのも有るのだろうが、それを加味してももうちょっと感想を見かけても良いのではないだろうか。あまりステマという言葉は好きではないが仮に本当にステマだったとしても流石にもうちょっと実際に買った人居るでしょ。某SNS上でも2人程度しか見かけない。これはもう実際に試してみるしかないかという事で購入。サンコーレアモノショップ本店で税込み6,980円(2020年1月25日現在)でした。

購入・インプレッション

ここから写真付きで説明してきます。

おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器

消費電力は185Wとの事なのでエアコンの暖房を動かしたまま炊いても特に問題は無い。保証期間は6か月。

おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器

内釜とプラ製の本体の間のパッキンとコンセント接続部の蓋以外は取り外し分解可能なので、そのパッキン部分さえ気を付ければ衛生面も問題ないでしょう。このパッキン部分とコンセント接続部の蓋のおかげで防水の弁当箱として機能するのだが、コンセント部分の蓋は割と開きやすいので洗う際には十分注意しよう。

おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器
おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器

炊いてみる

炊飯前にまずは炊飯器内側と蓋の洗浄。コンセントの蓋部分に注意したうえで洗浄します。一人暮らしにありがちな、まな板すら満足に置けないキッチンにも細長いボディがマッチしますね。

今回は秋田県産あきたこまちの無洗米を使います。昨年秋に購入してまだこれだけ残っているあたりがガス炊飯の面倒さです。

米と水を投入。米は付属の計量カップ1.5杯分の米で0.5合です。水は同様にカップの目盛りを使って120~140mlを投入します。無洗米は一般的なコメよりも水分を必要とするので135ml程度入れてみました(注: 以下の写真はまだ米をカップ1杯分しか入れていない状態)。

付属のコンセントの長さはこんな感じです。

20分ほど水に漬けたのちに電源を入れ炊飯開始。炊飯完了時にアラーム音などは無いので注意が必要です(一応パチッという機械的な音は聞こえます。機械式なんでしょうね)。

保温状態に切り替わった状態で更に10分ほど蒸らしたのちオープン。ちゃんと白米してそうです。時間的には蒸らし時間込みで30分程度でした。個人的には十分に速い時間。

実食

前提:白米の好みは人によって様々、銘柄も様々ですが、私個人としてはコシヒカリを茶碗に盛って5分経過したぐらいの湯気が出すぎていない水分の多すぎない米が好きです。

まず、これまでやっていたガス炊飯と違い、火の調子、沸騰の様子、湯気の様子を観察・調整しなくていいというのがもう楽ですね。

そして味もガス炊飯より美味しいです。ガス炊飯は「おこげが出来てもいい」という人には美味しいお米が炊けるのですが、おこげがあまり好きでない人(私です)向けに作るとちょっと水分が多い米になりがちです(これもテクニック次第なんでしょうが、非アウトドアの日常炊飯ではそもそもテクニック無しで米を炊きたいです)。

米としての傾向は水分がほんのちょっと少なめ?でさっぱりした感じに仕上がり私好みです。決してカピカピではなく、ベタっとした部分もなく、焦げた部分はもちろんありません。電子レンジで加熱するタイプの白米を食べ慣れている人にとっては問題なく同等~それ以上です。

なぜ弁当箱型なのに皿に盛ったかというとカレーで頂く為です。食べ慣れていて分かりやすい「ボンカレーゴールド 中辛」を頂きます。カレーとセットでも米の具合は良い感じです。米の好みは本当にいろいろ有ると思いますが、「問題の無い味」である事は間違いないです。

総評

一人暮らし用、単身赴任用かつ毎日米を炊くほどには自炊をしない・そこまで白米を食べないものの、たまに炊きたいという人にはなかなか良い製品だと思います。電子レンジ白米を買うよりもコスパが良くなります。メリットとしてはやはり場所を取らないというのが大きいですね。コンセントの端子キャップは付けておくと使用しない間はケーブル・計量カップを本体内に収めて保存できるので捨てないようにしましょう。未使用時のサイズが弁当箱サイズで済みます。

水に漬ける時間や蒸らし時間まで含めて超高速でやってくれ!って人にはイメージよりも超高速ではないかもしれません。アピールの一つである「仕事の休憩時間にも炊き立てが食べられる」は休憩時間前に水に漬けておける、事前に電源をONに出来るような就業環境の人なら一応可能かな?という感じですね。

あとは耐久性がどの程度かですね。保証期間としては6か月です。1~2年程度問題なく動いてくれるといいですね。